栄養素辞典 - カルシウム
カルシウムCa
細胞外液に多いミネラルです。
歯や骨をつくるミネラルとしてよく知られていますが、摂取量は不足がちです。
神経の伝達や筋肉の収縮、ホルモンの分泌にも、マグネシウムと対抗的かつ相補的に働きながら大事な役割を果たしています。
私たちの体は60兆個もの細胞でなりたっていますが、これだけ多くの細胞を生体の一部として、統一的機能を保ちつつ働かせるためには、強力な神経が必要です。
カルシウムはその神経の働きになくてはならないミネラルです。
日本は火山灰で大地をおおわれているため、普通の食事では不足しがちです。大地にカルシウムがたっぷりのイギリス人に比べて、日本人が短気でイライラしやすいのは、カルシウムの摂取量がイギリス人は多く日本人は少ないためといわれます。
食品中のカルシウムはリンと結合していることが多いので、腸からの吸収率がよくありません。
せっかくとっても吸収されないのでは何もなりません。
加工食品や白動販売機で買うジュースなどの中には、リンが多いので注意が必要です。サプリメント(栄養補助食品)や電解イオン水で毎日の補給をした方がいいミネラルの一つです。
血中のカルシウムが不足してくると、血液が酸性に傾こうとします。
そうなると副甲状腺のホルモンが自動的に血液中に流れ出し、その働きで骨からカルシウムが血液中に溶け出して、血中のカルシウム不足を補い、酸アルカリのバランスをとろうとします。
この時、どうしてもカルシウムが多めに溶け出してしまうので、余分なカルシウムが動脈硬化部にたまって動脈硬化をひどくしたり、結石のもとになったり、毛髪中に多量に出たりします。
逆に、カルシウムを特に沢山摂っているわけではないのに、毛髪分析で多く出ると(マグネシウムも多く出る)骨からカルシウムが溶け出していることが推定できます。
こういう時は他の主要なミネラルが少なくてもカルシウムとマグネシウムは多く出てきます。
カルシウムの吸収にはビタミンDが必要です。
ビタミンDが活性化するためには日光浴が必要です。
吸収を妨害する要素としては、植物繊維に多いフィチン酸、しゅう酸、亜鉛の犬量投与、脂肪のとりすぎなどがあります。
高カルシウム
カルシウムの大量投与を続けていると、毛髪分析
のグラフのカルシウムの量はふえてきます。
カルシウム欠乏が続くと、骨からカルシウムが溶
け出して血中カルシウム濃度が高くなり、毛髪分析の結果もふえます。
この時、副甲状腺(上皮小体)ホルモンが仲介役をするので、副甲状腺自体が病気になっても、このホルモンが血中に溶け出し、骨からカルシウムが血中に溶け出すこともあります。
アルミニウムの摂取量が多くなっても副甲状腺を刺激して同じようなことがおこります。
また、体の中にガンがあって骨に転移すると、カルシウム値が多くなることもあります。
毛髪分析の結果、カルシウムが多く検出された時は、カルシウムとマグネシウムのサプリメントをつづけて摂ってみます。
一ヶ月ほどして、その間伸びた分だけ再度毛髪分析をしてみると、たいてい正常化しています。
この時は、単にカルシウムの摂取量が少なすぎたため、骨からカルシウムが溶け出していたためとわかります。
骨粗鬆症
この状態がもし続いていると、骨がスの入った大根のようにスカスカになり、ちょっとしたことで
骨折しやすくなっていた筈です。
これを骨粗鬆症といいます。
老化にともない、体(骨格)がちぢみ、背骨が曲がってくるというのも骨粗鬆症の進行を示すものです。
これが悪化して足の骨などを折ると、寝たきり老人になるもとになります。寝たきりになると老人ボケが急速に進行するおそれがでてきます。
老人ボケと床ずれの予防(治療)のためには、とりあえずビタミンCを最低1日2グラム程度サプリメントでさしあげてください。
毛髪分析で骨粗鬆症の危険がわかったときは、骨折予防にサプリメント等でカルシウムを1日1000ミリグラム、マグネシウムをその半量を目標に摂取します。
カルシウムが不足すると
神経過敏、イライラする
あごの骨が弱る、歯周病、虫歯
成長期では歯質の低下、あごの骨の発育不良
心臓が弱る、不整脈
動脈硬化、高血圧、腎結石になりやすい
アレルギーに弱くなる
腰が痛い
骨の形成障害
成人では骨軟化症
子供ではくる病になる
足がつる、手足のしびれ、けいれん
骨折しやすい。骨粗鬆症をおこす
カルシウムの働き
精神を安定させる。不眠を防ぐ
歯の健康を維持する
心臓の規則的な鼓動を保つ
筋肉をスムーズに収縮させる
丈夫な骨を維持する。
最近の研究では、ビタミンDとともに多量に摂ると、高齢者の骨折を低下させると報告されている
カルシウムは人体に最も多く含まれるミネラル(無機質)で、成人体重の1.5〜2.O%を占めている。このうち、99%は骨や歯に含まれ、残りの1%が血液や細胞液の中に溶けこんでいる。この分布の割合は常に一定に保たれており、特に血清中のカルシウム濃度は、びっくりするほど厳密に維持されている(100ml中に10±1mg)。
骨へ運ばれてきたカルシウムは、そこに沈着して貯えられる。そして、体液中のカルシウム濃度が下がれば、カルシウムは骨から放出される。また、見かけと異なって骨は一生を通して生きている組織であり、一生の間、カルシウムは骨への沈着(骨の形成)と、骨からの放出(骨からカルシウムが溶け出す)をくり返している。そして、老齢になると骨からの放出のほうが優勢になって、カルシウムは骨から失われはじめる。
カルシウムの吸収のしくみ
1 カルシウムは小腸で吸収される
口から食物としてとり入れられたカルシウムは、小腸(十二指腸、空腸、回腸)で吸収される。このうち、小腸上部で吸収されるときには、ビタミンDをはじめ、さまざまなカルシウム調節因子がかかわってくる。
2 カルシウムバランスについて
カルシウムの吸収と排泄のバランス
カルシウムの腸管からの吸収率は、年齢その他の生理的条件によっても異なる。幼児では約75%、成人では30〜40%、そして老齢になると腸管からのカルシウム吸収能力はぐんと低下する。吸収されなかったカルシウムは便中へ排泄される。
カルシウムの吸収を高めるもの、妨げるもの
1 とり過ぎるとカルシウムの吸収を抑制するもの
食物繊維:その種類にもよりますが、食物繊維(食品中に含まれる消化されない成分のこと)はカルシウムなどのミネラルを吸着する性質があり、腸管からの吸収を妨げる。小麦のふすまなど穀類の食物繊維とか海藻の成分には特にその作用が強い。
シュウ酸:ほうれん草など緑黄色野莱に含まれるカルシウムは、シュウ酸と結合している(シュウ酸カルシウム)。この状態のカルシウムは分解されにくく、吸収もよくない。
アルコール:アルコールが直接に腸粘膜を傷つけてカルシウムの吸収をわるくしたり、酒飲みはアルコール以外の飲食物のとり方も少ないためカルシウム不足になったりする。
脂肪:食事中に含まれる脂肪の量が異常に多いときも、腸管からのカルシウムの吸収率はおちる。
リン:食事中のリンとカルシウムの比率は、1対1が望ましいとされている。
近ごろは、インスタント食品など、食品添加物としてのリン酸塩を大量に含む加工食品が普及している。
2 カルシウムの吸収を高めるもの
ビタミンD:ビタミンDそのままでは作用をあらわさず、肝臓や腎臓で水酸化という変化をうけて、活性型ビタミンDに転換する必要がある。
なお、からだの中のビタミンDは、食物としてそのまま入ってきたもののほかに、皮膚にたまっているプロビタミンD(シイタケの成分としてからだに摂取されたエルゴステロールや、皮膚にある7−デヒドロコレステロール)が紫外線に当たって生成されるビタミンDも含まれている。その意味で、日光は食事と同じくらい重要な、ビタミンDの供給源といえる。
ビタミンC(アスコルビン酸)
その他:乳糖(牛乳に含まれる糖)や、カゼイン(牛乳中に含まれるたんぱく質)、リジン(たんぱく質を構成しているアミノ酸の一種)などは、カルシウムの吸収率を高めるといわれている。
3 たんぱく質のとり過ぎはカルシウム代謝に影響する
カルシウムが比較的少なくたんぱく質の多い食事をとりつづけていると、体内のカルシウムが失われる危険があることを示している。
カルシウムのとり方
1 食品の種類によってカルシウムの吸収率は異なる
牛乳(100m1中に100mg)、小魚(いわし丸干し100g中1400mg)、野菜(ほうれん草100g中55mg)の平均吸収率は牛乳で約50%、小魚は約30%、野菜は約17%といわれている。このうち最も吸収率のよい牛乳には、乳糖、ビタミンD、リジンやアルギニンなどのアミノ酸、などカルシウムの吸収を高める成分を含んでいる。リンや脂肪の摂り過ぎにもなるので注意が必要。一方、最も吸収率の低い野菜のほうは、食物繊維やシュウ酸などカルシウムの吸収を妨げる成分を含むことが影響していると思われる。
2 食品中のカルシウム含有量だけで判断してはいけない(吸収率の違い)
3 老人は若い人より多くのカルシウムが必要
60歳を過ぎると、年とともにカルシウムバランスがわるくなる。尿中へ排泄されるカルシウムの量が増え、腸管からのカルシウムの吸収能力が低下するためである。そして、骨の質量はしだいに減少し、特に閉経期以降の女性では骨粗しょう症(骨量の減少)をおこしやすくなる。
日本の土壌にはカルシウムが乏しく、そこに育った農作物も、欧米に比べてカルシウム含有量は少なく、また牛乳の摂取量も多くはない。さらに、現在の日本人は30年前に比べて、カルシウムの吸収になんらかの影響を及ぼす食品、すなわち油脂は5倍、糖類は1O倍、そしてリン酸塩は100倍もとっているといわれている。その一方で、魚類の摂取量は減り、特に小魚の摂取量が激減している。また、肉食中心の高たんぱく食をとることが多くなり、その半面では運動量(労働量)や太陽に当たる時間が少なくなっている。
このようなことは、カルシウムの摂取量も利用率も減らす原因となる。
○カルシウム栄養と骨粗鬆症
骨格系は、胎児から幼児のころには、初め主にたんぱく質を材料として形作られる。だからこそその時期に、摂取エネルギーが不足したりたんぱく栄養が悪かったりすると、栄養分が四肢の形成にまで十分には回らないために、手足をはじめとして全身の成長を妨げることになる。
体内のカルシウムは軟組織にも存在し、神経系の刺激の伝導とか筋肉の収縮運動、いざというときの血液の凝固など、重要な生活機能に関与している。生きるための働きとしてはそちらの方がずっと比重が大きいからである。しかし体内に存在する量としては圧倒的に硬組織に多い。
○骨の健康を守る三ポイント
(1)30歳前後の骨カルシウム保有量のピーク時に高さをできるだけ高くしておくこと。
(2)30歳を過ぎてからも食物内容に気をつける。
(3)1日の運動量が十分であるようにすること。
骨は生きている
骨は毎日生まれ変わって数年ですっかり入れ替わる。骨を壊す破骨細胞と、骨を作る骨芽細胞、この2つの働きのため。この2つのバランスによって、骨はからだを支えている。
ところが、このバランスが崩れて、骨を溶かす働きに対して骨を作る活動が追いつかず、骨がスカスカになってしまう。この状態が骨粗鬆症である。
原因の1つとして、閉経後の女性ホルモンの減少が挙げられる。
体内に取り込むカルシウム量が減ると、血液中のカルシウム濃度を一定に保つため、骨からカルシウムが溶け出し、骨がスカスカになってしまい、骨粗髭症を引き起こす。大切なのは、いろいろな食品をまんべんなく食べて、栄養のバランスを取ること。また、骨へのカルシウムの吸収を促すためには、適度の運動も必要。
骨粗籍症の予防法
●こまめにからだを動かす。足腰をきたえて、体重のかかるスポーツを。
●若いときからカルシウムたっぷりの食事を。中高年からでも間に合う。
●食事は栄養バランスを考えて。ビタミンDも忘れずに。
塩分のとりすぎはカルシウムの吸収を妨げる。
●日焼けしない程度に、日光をほどよく浴びる。
●タバコはやめ、酒はほどほどに。









